「沙代ちゃん!来たよ!」
…2月末、冷え切った体で帰宅すると、母親が勢いよく走ってくる。
手には、1つの大きな封筒。
「結果?」
手渡されたそれを、沙代はゆっくりと…慎重に開けていく。
目に入った文字は、2つ。
「おめでとう!!」
母親からの祝いの言葉に、肩の力が一気に抜けていく。
沙代は安心した表情で、深く息を吐いた。
「今日は赤飯やなぁ!」
嬉しそうに、母親は書類を眺めている。
沙代は、手にぎゅっと力を込めた。
「お母さん、ちょっと…出かけてくる」
「え、沙代!?」
母親の声を背に、沙代は家を飛び出した。
…健太郎、受かったよ。
受かったよ!!