『なぁ、広っ!あの制服、めっちゃ可愛くない?』
コンビニの前で集まる中、健太郎が激しく背中を叩いてきた時を思い出す。
『痛いって』
『あれ、どこ?何ていうとこ?』
あきれた顔で振り返ると、健太郎は興奮しながら、店内にいる女子高生を指さしている。
『相羽やろ?女子が“制服可愛い”って騒いでるとこやん』
健太郎の視線をたどる広也は、彼女たちを眺めて答えた。
『あいばかぁ。絶対、あの制服…沙代に似合うわぁ』
『のろけんなって』
嬉しそうににやける彼の顔を軽く叩き、広也はケラケラと笑っていた。
井上は、きっと…あいつの願いを。
写真を眺め、広也は顔をゆがめた。


「…相羽にしたで」
一方、沙代は首にかけたネックレスを握りしめて、ささやいていた。
そして、3年になった頃を思い出す。

『どこにしようかなぁ。高校とか、どこでも良さげなんやけど』
『あいば!絶対、あいば!』
担任の教師から配られたプリントを手に…悩んでいると、健太郎が背後から必死に勧めてきた。