「こらぁ!!お前らぁ、止まれっ!!」
突然、教師たちが大声を出しながら、校門まで駆けつけてくる。
その声で我に返った沙代は、再び歩き出す。
「おりらんかぁ!!」
からかうかのように走る生徒たちに、教師は両手を広げて、通さないように立ちはだかる。
そのとき…
「お前らも死にたいんかぁ!?」
その中にいた1人の教師が、大声でその言葉を吐いた。
沙代は、思わず足の動きを止めた。
鞄を持つ手に、汗がにじんでいく。
「沙代…」
由加は、下唇を強く噛む沙代の顔を、心配そうに見つめる。
沙代は奥歯に力を入れながら、その教師に向かって歩きだした。
「とまらんかぁ!!」
教師は、暴走を必死に止めようとしている。
「…やめてよ」
沙代は教師の後ろに立ち、うつむいたまま、つぶやいた。
「え?」
話しかけられた教師は、両手を広げたまま振り返る。
「…健太郎のこと、そんな言い方するんやめてよ!!」
沙代はこらえていた涙を流して、怒鳴り散らした。
「…あのな、井上」
「やめてやぁ!!先生らは、健太郎のこと何やと思ってん!?」