健太郎が亡くなってから、1週間が過ぎた。
1つの命は、本当にちっぽけなものだと言うかのように、時計は淡々と数字を刻んでいる。
当たり前のように新学期が始まり、毎日が過ぎていく。
「いつになったら、学校行くんや!?…受験があるやろが」
父親が部屋の前に立ち、ドアの向こうから話しかけてくる。
沙代は何も答えずに、ベッドの上に寝ころんでいた。
父親は、健太郎の死を…何とも思っていない。
沙代はそんな父親を深く憎み、家の中ですれ違うときでも、目を合わさないようにして…避けている。
「…沙代ちゃん、学校の先生も心配してるし、友達も毎日来てくれてるから…」
「わかってるよ。…明日から行く」
夜、風呂上がりの沙代に、母親は控えめな態度でつぶやいてくる。
沙代は、少し…うっとうしそうに答えた。
ほんまは、学校なんか…どうでもいい。
別に…。
何がどうなろうと、そんなん…どうでもいい。