「じゃあ、俺も」
彼は原付の中から小さな箱を取り出すと、自分でリボンを外しだした。
「ちょっ…なんで自分で開けるんよ!?」
慌てて、プレゼントに手を伸ばす沙代。
健太郎は彼女の腰を引き寄せて、軽く口づけをした。
「いいから、目ぇつぶって」
沙代は、彼の変な行動に顔をしかめながら、言われた通りに目を閉じた。
健太郎は、そっと彼女の左手を取り、ゆっくりと手袋を脱がしていく。
…冷たい彼の手から伝わってくる体温が、胸を苦しくさせる。
「…もういい?」
沙代は、ウズウズしながら問いかけた。
「まーだ」
健太郎は、少し笑みを交えた声でじらしてくる。
すると、冷たい感覚が…左手の薬指をなぞっていく。
「え、健太郎!?」
沙代は、それが何なのか…すぐにわかった。
「メリクリぃ」
驚く彼女に、彼は満足げに耳元でささやく。
「目ぇ、開けても…いい?」
沙代は、嬉しさでいっぱいになる。
「まーだ」
早く見たいのに、健太郎は意地悪を言う。
「なんでよぉ…」
そう言って口を膨らませる沙代に、健太郎は再びキスをする。
…唇が離れると共に、沙代のまぶたも自然に開いていく。