空(第2章まで公開)

「健太郎くん、到着っ!」
それから3時間後、家の前に現れた彼は、普段の無邪気な彼氏に戻っていた。
「…普通に、25日なんですけど」
沙代は目を細めて、彼を睨む。
「もう、沙代ちゃーんっ!!」
スタスタと先を行く彼女を、健太郎は慌てて追いかける。
「ごめんってぇ、沙代ぉ」
先輩の原付を引きずって、機嫌を直そうと追いかけてくる姿に、想われているという実感がわいてくる。
「はいっ」
沙代は背を向けたまま、コートのポケットから、細長い箱を取り出し…手渡した。
突然、目の前に差し出されたプレゼントに、健太郎は目を丸くする。
「ありがとっ」
彼は満面の笑みで、それを手に取った。
「開けてもいい?」
ニンマリと頬を緩める彼に、沙代は素直にうなずく。
健太郎は、その場でリボンを外していく。
箱の中から現れたのは、銀のネックレスと…小さなメッセージカード。
健太郎は、優しい瞳でカードを眺めると、ネックレスをそっと首にかけた。
「…ありがとう。大事にする」
2人の名前が彫られた…そのネックレスを、健太郎の手のひらが柔らかく包み込む。