「…おー」
拓馬のわざとらしい様子が気になる。
だが、聖は再び“舞の話題”を出すことはしなかった。


「…白浜?」
家に帰ると、拓馬は輝緒に、聖の白浜行きの件を一番に話した。
「…いつ?」
輝緒は少し寂しそうな表情を見せ、聖に問いかけてくる。
「来週の火曜かな。夏休み前には、向こうに着いときたいし」
聖は、ソファーの上であぐらをかいて、返事をする。
「そうか。…舞…とか、皆には言うてん? その話…」