「お前の髪って、結構…少ないんやな」
手の中で、しなやかに流れる…長い髪。
「…なんか文句ある?」
舞は、やっぱり何かと突っかかってくる。
「将来、ハゲ確実やな」
…以前は、可愛くない態度に、いちいちムカついていた。
でも、今はもう普通に受け止められるようになっている。
聖は、彼女の反応を楽しむかのように、憎まれ口をたたく。
からかっていると、舞はひじで腹を突いてきた。
「いっ…てぇ、冗談じゃよ。…染めやすいって意味」
聖は腹をくの字に曲げて、クスクスと笑った。
…久しぶりに、会話をした気がした。