聖は、彼女の表情を無視して、髪の毛へと手を伸ばす。
「なっ…何よ!?」
突然、髪を触られ、ぎこちない声を出す彼女。
「お前、髪…染めへんの?」
聖は、髪の毛を指先であやつりながら、問いかけた。
「え、あ…髪? …染めたいけど、邪魔くさくて」
舞は、聖がつかむ髪の毛の先を、チラッと見た。
聖は、両手で髪の毛を左右同時に握りしめ、ニコニコと微笑む。
そして、明るく声をかけた。
「染めたろか?」
それは、聖なりの心遣い。
この間の…詫びだった。
「そうしたら? カグ、うまいで、染めんの」