涙をこぼしていたことなど…なかったかのように、大声で叫ぶ聖。
「あほか。アイテムはアイテムじゃ。…って、まだやるつもりなん? 俺、美衣子と約束…」
「勝ち逃げとか、許さんっちゅうねん」
すっかりゲームに熱を入れる彼に、輝緒はあきれながらも…胸をなで下ろしていた。
そして、“仕方ない”と言うかのような素振りで、コントローラーを手にする。
「あ…待って、待てや! 待て待て待て! ちょっ、お前…光ったまま近づくなって! 待ってって! ああー!!」
静かにゲームを楽しむ輝緒の隣で、聖は暴れながら、慌てふためく。