母親は、慌てて台所へと走っていく。
「ゆっくりでええって」
久々に交わされる懐かしい感覚を、3人は心の中で喜んでいた。
…父親が姿を現した日から、聖は母親と姉のそばにいることを心がけていた。
2人もまた、何事も起きなかったかのような対応を、聖にしていた。
ぎこちなさが余韻を残しつつも、3人は前へ進もうとしている。
しかし、聖の中では、まだスッキリしない気持ちが、胸の多くを占めていた。
おかんと姉は、俺のこと…ほんまはどう思ってるん?