気がつくと、聖は輝緒の肩をつかんでいた。
グイッと肩を引かれ、輝緒は険しい顔のまま振り返る。
「…中途なことしかできへんなら、追いかけんなや」
聖は、彼に冷たく言い放ち、舞の後を追いかけた。
遠く離れていく舞の後ろ姿を…かすかに捕らえ、聖は思いっきり走る。
「きっしょいやつ。やたら…速いやんけっ」
なかなか近づけない距離に…荒くなる息。
聖は、額に流れる汗を、腕でぬぐった。
「待てって!!」