「起きたてで、食えるわけないやん…」
輝緒は、いつも食事の用意をしてくれている。
でも、俺は、それを食うときもあれば…食わんときもありで。
…悪いなぁとは思うけど、今朝は食う気せぇへん。
「おい! 忘れもん! これなしで、どうやって行くねんな」
玄関に向かう俺に、輝緒は原チャリのキーを投げてくる。
「あぁ、ごめん」
「…いってら」
毎朝、この調子。
マンションを出て、俺は原チャリを動かし、現場へ向かった。