そして、実との電話を切った後、数分…考えて、親方に電話をかける。
「あ、すんません! …はい。あ、元気です」
親方は、久しぶりに連絡してくる聖に対して、とても優しい口調で話してくれている。
聖は、気まずそうな表情で、口を開いた。
「…あのね、まだ…帰れそうにないんすわ」
…帰らない。
聖は、大阪に帰ることを…あきらめた。
“多分、カグくんが帰ってきたら、また来るようになるんちゃうかなぁ”
実の言葉が、気持ちを変えた。
まだ…帰れない。