君がくれたもの(第4章まで公開)

その台詞を耳にし、聖は…幹に惚れ込んでいた拓馬の笑顔を思い浮かべる。
自然と、ため息がこぼれた。
「そうか。…わかった」
聖は静かにうなずくと、輝緒を安心させて、電話を切った。
そして、携帯を眺め、再度…深い息を吐く。
数分…真顔で考えた結果、聖は携帯のアドレス帳から“拓馬”という文字を探し出した。
…発信ボタンを押すと共に、耳元で流れる呼び出し音。
正直、何て言えばいいのかなんて、考えていない。
聖は、鳴り続ける呼び出し音を聞きながら、眉間にしわを寄せる。