『幹が…はらんだ』
電話越しにささやかれたその言葉に、クシを持つ手は…ピタリと動きを止めた。
毛先からこぼれ落ちる水滴は、あぐらをかいていたひざ元に…跡を残していく。
あまりにも唐突な展開に、聖は驚いて声が出せなかった。
「…マジで言うてん?」
『…うん』
「拓は?」
気持ちを落ち着かせて、輝緒に問いかける。
ところが、肝心な質問に、輝緒は言葉を詰まらせた。