「おかえりぃ! 遅かったなぁ。…何してたぁん?」
輝緒が、ニヤニヤとそばに近づいてくる。
「んー? …風呂入るわ」
聖は目をそらしたまま、風呂場へと行った。
脱衣場でTシャツを脱いだとき、さっきの舞の涙を思い出す。
苦しくなる…のど。
聖はTシャツを強く握りしめながら、洗面台に手をつき、ため息を深くついた。
あいつと、一緒に…いたい。
…行きたくない。
言葉にできない気持ちを、胸の中で何度も唱えてしまう。