「さぁ、荷造りも途中やし、帰るわぁ!」
彼女への想いを振り切るかのように、エンジンをかけて、聖は無理やり空気を変えていく。
エンジンが勢いよくかかり、ハンドルを握る手が、小刻みに震え出す。
だが、まだ…彼女への想いは…捨てられない。
「…舞っ」
聖は、眉間にしわを寄せて、振り返った。
「…何よ?」
舞は、普段の自分を取り戻し…ひねくれた口調で返事をする。
“待っててほしい”って…言うたら、お前は…どんな顔をするん?