舞…。
閉じた唇に、彼女の息がかかる。
だが、聖は“キスをする”と実感した瞬間、自分の立場を思い出した。
そして、目が覚めたかのように、目を大きく開く。
目の前にいるのは、愛しいと思った…舞の顔。
聖は、唇をきつく噛み、息を飲んだ。
ゴンッ!
「い…ったっ!」
鈍い音と共に、舞は額を両手で押さえて、目を開く。
聖は、彼女に頭突きをして、今ある現状をもみ消した。
痛がる彼女を見て、聖はプッと噴き出す。
そして、彼女に明るく…背を向けた。