…無我夢中でエンジンをかけて、道路を走っていく。
少し経つと、ライトの光の中に、舞の姿が小さく映った。
聖は、ハンドルを強く握りしめ、スピードを上げる。

「…乗れよ」
彼女の斜め後ろにたどり着き、聖は声をかけた。
うつむきながら、ぽつりぽつりと歩いていた舞は、その声に反応して…早足になっていく。
「はよ乗れって」
聖は、彼女の腕を強くつかみ、自分の後ろに乗せた。
エンジンの音が、無言の2人を包んでいく。