『は? 女と金は…別もんやろ?』
携帯から聞こえる舞の声が、大きくなっていく。
舞が言った…その台詞に、聖は忘れていた“自分の立場”を思い出した。
…そうや、女に暇つぶしてる時間は、俺にはないんやった。
「…今の俺は…女いらんねん」
聖は、生まれかけている感情を押し殺し、真顔で答えた。
『…ふぅん。…ごめん、親呼んでるから…切るわ』
舞は、低い声でそう言って、一方的に電話を切った。
“ツーツーツー”という冷たい音が、胸に穴を開けていく。
聖は、手にした携帯を、ジッと見た。
…何やってんやろ、俺。
きつく唇を噛みしめて、体を横に倒し、聖は静かに天井を眺めた。