「ユリ、……なにか思い出したの?」 私をユリと呼ぶ彼の表情は、心の底から私を心配してくれているように思う。 きっと、心の底から愛してくれているのだ。 けれど、私は覚えていない。 私が、本当に“ユリ”なのかさえも。 「……ううん。ごめん、よく……わからなくて」