心の奥底で、ホッとしている自分。
…何度、同じことを考えただろう。
行動に移した雪奈が、もし彼に気持ちを伝えて前に進めば…自分は取り残されたことになる。
…不謹慎な安心感。
勇気のない自分の姿は、彼女の失敗によって…もみ消されている。
「…頑張って忘れよっ」
幹は、後悔を背中でかたどる雪奈に…明るく声をかけた。
「うん、頑張ろ」
雪奈は、口元をグイッとむりやり動かし、笑顔を見せた。
…多分、今の雪奈は…学校に行きたくないはず。
同じクラスの彼に、どんな顔を見せたらいいのか、不安でいっぱいやと思う。