…自分にはできない。
ここまで言えない。
…幹は、そんな自分がすごく情けなく感じた。
「…わかった」
こんな自分に…そこまで思いを伝えてくれる人がいる。
幹は必死な彼を拒むことができなかった。
『…俺、ほんま好きやから』
ホッとした彼は、彼女の心を聞きたい一心で、再び思いを伝える。
…暑い夏の午後、扇風機からのぬるい風を受けながら、想わぬ人からの想いに揺れ動く気持ち。
今の幹は、流されるままに進むことしかできなかった。