拓馬は、次第に真剣な表情になっていく。
「…太田」
そのとき、拓馬は彼女の変な行動の意味に気がついた。
「…冗談ってことぐらいわかってるから!!」
気まずさに耐えられず、雪奈は泣きだしそうになる顔を見せないように立ち上がった。
「おいっ!! ちょ…待てやっ!!」
急に走りだした雪奈を、拓馬は焦って呼び止める。
…だが、彼女は止まることなく走り去っていった。
「…なん…なよ」
去ってゆく彼女を眺め、拓馬は追いかけることができなかった。