心残りな思いは消えないまま、幹の気持ちは…あの日からずっと止まったままだった。
「ビックリした!! いきなり何なよ!?」
玄関のドアを開けて、大声を出す拓馬。
彼の黒目にくっきりと映るのは、雪奈の緊張した顔。
ぬけがけって幹に思われるかもしれやんし、どうせ振られるってわかってるけど…。
「…話、あるねん」
数日間、雪奈は伝えることのできなかった思いをこらえきれず、今日1つの決意を胸に…拓馬の家に訪れた。
「…ちょ、外、出て話そや」
家の奥からのぞいてくる家族を気にして、拓馬は急いでサンダルを履いた。