幹は、唇にキュッと力を入れる。
…違う。
あたしは、あんなん…好みじゃないし。
恋に浮かれた美衣子を眺めながら、彼女は必死に平静を保っていた。
「どれ?」
昼休み、幹と美衣子は廊下からF組をのぞいていた。
「…あれ」
教室の窓ガラスにしがみつく美衣子は、そっと人差し指を出す。
幹の視線は、指差す方向をたどった。
すると、目に入ってきたのは2人の男の子。
「え、どっち?」