耳元に鳴り響く呼び出し音。
震える唇をしっかりとかみしめる。
『…もしもしっ』
…受話器越しに聞こえたのは、明るい雪奈の声。
その声を耳にした幹は、一瞬にして逃げ出したくなる気持ちでいっぱいになった。
『…もしもし？』
声を出さない相手に、雪奈はもう一度話しかける。
「…幹やけど」
幹は目にギュッと力を入れて、勇気をふるって声を出した。
『おお！　どうしたん？』
「…あ…あのな、話あるねん」
今、普通に接してくれている雪奈は、この先、自分が打ち明ける言葉で、どう変化するのか？