ムキになって否定する幹の声を、冷静な言葉が覆い被さってくる。
幹は恥ずかしくなり、言い返そうとした。
「…良いやんか。結果なんか、どうでもいいやん。好きなら、好きでいいやんか」
あの電話以来、この恋のことには全く触れてこなかった美衣子が、必死に訴えかけてくる。
幹は、心の中をすべて読まれていたことを恥ずかしく思った。
あれこれ言い訳して…逃げていた姿を、美衣子はどういう目で見ていたのか?
「…まぁ、これ以上は言うたりせぇへんから。あとは…幹次第やで」
冷たく言い放つ彼女を前に、幹は乾いた唇をきつくかんでいた。