翌朝、幹は眠たい目をこすりながら家を出た。
そして、徒歩3分の距離にあるパン屋まで歩いていく。
その表情は重く、歩幅も少し狭い。
「おはよぉさん」
前方から聞こえてきたのは、先に到着していた雪奈からのあいさつ。
数秒間…彼女を見つめ、幹は笑顔を作った。
何もなかったかのように、2人はあいさつを交わす。
…幼い頃から、彼女たちはケンカをしても、次の日にはケロッとした顔で接してきた。
今回も、迷うことなく普通の朝を過ごしている。
昨日のことには一切触れずに、2人はみにくい部分を何気ない会話でもみ消した。