代わりに、彼の隣を歩く友人が手を振り返す。
「あんたに振ってんちゃうしっ」
幹は、どうでもいい彼の友人を見て、ため息をついた。
「てか、今の返事はどうなん!?」
ブツブツとつぶやく彼女に、美衣子は身を乗り出した。
「…へ?」
幹は、きょとんとした顔で振り返る。
「“へ?”じゃないって。あほやなぁ…、仲良くなるチャンスやったのに」
美衣子は、あきれた口調で眉間にしわを寄せた。
「…あ」
誘われたというだけで満足していた幹は、ハッと我に返る。