太陽と月(第3章まで公開)

あの子と過ごせない彼に…つけ込もうとしている自分が、醜くくて嫌になってくる。
「…拓ちゃん」
でもね、ほら…名前を呼ぶだけで、こんなに胸が苦しくなるねん。
その角を曲がれば…。
「…はぁ、はぁっ」
呼吸を整えながら、幹は彼の家へと近づいた。
体中に響き渡る緊張と不安。
…もうすぐ…家に着く。
だが、最後の曲がり角にたどり着いた幹は、思わぬ光景を目にし、足の動きを止めた。
目の前に映ったのは、拓馬と佳奈の姿。
「もう、来ぇへんかと思ってた」
「…ごめん」
「…もうえぇよ。俺も…ごめんな」
…予測していなかった現実。
地面に広がる、細長い2本の影。
…謝る彼女に、そっと口づける彼の背中。