太陽と月(第3章まで公開)

「会いになんか…行けるわけない」
表情をゆがめた彼女の耳には、時計の針が大きく音を響かせていた。
「用意、できた?」
玄関のドアを開け顔を出す幹に、和貴は明るく声をかけてくる。
うれしそうな笑顔を前に、幹は息苦しくなった。
幹は、家の門をゆっくり開けて、彼のもとへと歩み寄る。
「どこ行く?」
「…ごめん」
歩きだす彼に、頭を下げる。
和貴は、彼女の腰を曲げた姿に、言葉を失った。
「ごめん。…あたし」
顔を上げて、幹は申し訳なさそうに謝る。
長い沈黙が流れていく。
「何?」
続きを言いだせない幹に、彼は急かすかのように問いかけた。