…それから数日間、拓馬と佳奈はお互いを避けるようになった。
あの階段にも行かなくなり、周りにも噂になるくらい、不仲になっている。
「…いいかげん、仲直りしろよ。謝ったら?」
和貴が、教室の窓際で、廊下を眺めながら、言う。
「俺は悪くないのに、なんで謝らなあかんねん」
拓馬は、ムスッとした顔で、外を向いた。
「そりゃ…確かにそうやけど。話し合いぐらいせな、自然消滅になるで」
和貴は、教室で騒ぐ生徒たちから、拓馬に視線を移す。
その言葉を耳にして、拓馬は黙り込んでしまった。
「なんやったら…俺と過ごす?」
ケラケラと笑いながら、和貴が明るく笑いかけてくる。