どこまで行っても、一方通行の片思い。
…答えるフリはするくせに、全く自分を見ていない。
雪奈の言葉が、脳裏をめぐる。
…なんで、あの子を好きになったんやろ。
苦しいのに…諦められない。
…こんな思いまでして好きでおるとか…アホみたいやんけ。
冷たい彼女の瞳が、まぶたに焼きついて…離れない。
雪奈の言葉が、耳にはりついて…胸が苦しい。
周りで飛び交う賑やかな声が、自分を独りに追いつめていく。
冬の風が残した冷たさを頬に、和貴は動かない心を憎んでいた。