太陽と月(第3章まで公開)

でも、ごめん。
“チャンスや”、本当は嬉しかったりする。
…多分、泣いてるんやろな。
…遠くから聞こえてくる生徒たちの声が、優しく耳になじんでいる。
真っ暗なまぶたの中に、凛とした彼女の横顔が…焼き付くかのように映っていた。

「…また怒らせてもたぁ」
残された拓馬は、階段の壁にもたれていた。
「いつもいらんことして…。怒らせてばっかや、俺」
夏休みの時…太田にも同じようなことしてもたし、なんで俺って…こんなんなんやろ。