「…ありがと」
あの電話以来、和貴からの連絡はとぎれた。
幹は、静かにたこやきを手渡す。
イスに腰掛け勢いよく食べる彼を、幹と美衣子は横目で見る。
「ありがと! うまかった」
彼は満面の笑みで立ち上がり、ゴミを捨てていく。
幹は、笑顔で手を振り返した。
「さぁ、頑張らな!! 武内、どこやろ?」
教室を出る瞬間、彼が残した1つの言葉。
幹の動きは、一瞬で停止する。
目を向けると、拓馬はドアの外で背伸びをしている。
また、和貴もチラチラと、こっちを気にしている。