「泣いてたらしいやん」
美衣子は、こちらを見ずに、券の枚数を数えている。
…雪奈、しゃべったんや。
「あんたが話してくるまで…黙ってるつもりやったけど。全然、言うてけぇへんし…」
淡々と作業を続けながら、あきれた口調で話す彼女。
幹は眉間にシワを寄せた。
「どう考えてんか知らんけど、実る恋だけが恋愛ちゃうで」
一度もこちらを見ない彼女からの言葉。
なんか…見捨てられた気がした。
“実る恋だけが恋愛ちゃうで”
確かに…そうなんかもしれへん。