騒いでいる彼を眺め、雪奈は微笑んでいる。
「って、何、急にっ! どしたんよ!?」
返事のない彼女に、雪奈は驚いた。
幹は、ぬれた顔を両手で隠す。
「ちょっ…幹!?」
「ごめん。…大丈夫」
なんで、こんなことぐらいで…涙が出てくるんやろ。
“幹ちゃん”
…名前で呼んでくれた。
…なんで、こんなにうれしいんやろ。
…なんで、こんなに好きになってもうたんやろ。