「美衣子は“クレープが良い”ってグチっとったけど」
あせりと不安を表には出さずに、楽しそうに振る舞う。
あんなに暑かった季節は、いつの間にか…姿を消して、もう長袖の季節を迎えている。
あたしのこの気持ちも、何もしないまま…終わってしまうんかな。
「なあ、見てや!」
突然、2人に降りかかる大きな声。
「犬っ!」
淡いピンク色の風船で作った作品を、うれしそうに見せてくる拓馬。
「それ、首輪付けて売ったら…可愛いんちゃん?」
「おぉ、いいかも!」