「じゃあ、幹んとこは“たこやき屋”?」
「うん。雪奈んとこは?」
昼休み、雪奈と幹は廊下で話していた。
「うちは“バルーン”」
何事もなかったかのように…元気に微笑む彼女を、幹はうらやましく思っていた。
雪奈みたいに、ダメもとでも告る方が…ケジメつくよな。
臆病な自分を守り続けて、何もしないうちに…失恋してしまう。
このままで…いいん?
でも…やっぱり傷つきたくない。
「風船なんか食べられへんし。食いもんの方が良いわぁ」