太陽と月(第3章まで公開)

アイツのことやから…避けたりしそうやし。
そう心に決めた彼に、和貴は煙草の箱を放り投げた。
「まぁ、頑張れ。モテる男の見せどころやで」
拓馬はそれを手に取ると、晴れやかな表情でうなずいた。

「おはよッ!」
翌朝、雪奈は、靴箱の前に立つ拓馬の背中を軽くたたいた。
「…あ、お…おはよっ」
予想外な彼女の態度に戸惑い、拓馬は声をうわずらせた。
楽しそうに教室へ入っていく彼女を、ぼうぜんと見つめ…立ち尽くす。
「強いなぁ。おまえより…全然強いやん」