太陽と月(第3章まで公開)

再び、幹の前に現れた雪奈は、さきほどとはガラリと変わった表情を見せていた。
つらいときに…独りにしたくない。
そう思って…帰りを待っていた彼女は、雪奈の笑顔を前に戸惑った。
「…大丈夫?」
なかなか聞き出せない雰囲気の中、思い切って…本題を口にする。
「ん? あ、もう、平気平気!!」
雪奈は隙を見せない態度で、笑顔を返してくる。
それを目にして、幹は何も言えなくなってしまった。
乾いた笑い声を、いつまでもあげ続ける雪奈。
まるで、つらい気持ちを…塗りつぶすかのように。