太陽と月(第3章まで公開)

…彼の短い髪の毛が、ゆっくり風になびいていく。
雪奈は、それを黙って…見つめていた。
失恋…やでな、これ。
生ぬるい空気が、2人を切なく包み込む。
もう…これで終わり。
胸の奥に…まだ残るこの気持ちは、捨てなきゃならない。
「これからも普通に友達やろな!」
雪奈は、飾り付けたように満面の笑みを浮かべた。
薄く口を開いたまま、彼女を見上げる拓馬。
小さく震える口元を、彼に気づかれないように、雪奈は明るく笑い続ける。
諦めな…あかん。