…翌日。
「…太田」
拓馬は、放課後を迎え、鞄を手にした雪奈に声をかけた。
「……何?」
彼女は、気まずそうに顔を上げる。
「…話あんねん。ちょっとええか?」
騒がしく笑い声が響く中、2人の間に重苦しい空気が漂う。
雪奈は、彼から視線をそらした。
「…幹、待ってるから」
そう言って、避けるかのように背を向ける。
「聞いてくれや」
拓馬は力強く彼女の腕をつかむと、再度、誘いをかけた。
雪奈は、今にも泣きだしそうな表情を隠して…うつむいた。
「…ごめん。先、帰っといてほしい」