拓馬は、雲ひとつない空をまぶしく見上げた。
「“今日、何回すれ違った”とか…うれしそうに俺に言うてくるし」
彼は、和貴の幹への気持ちを、代わりに告げた。
“会える時間を、待ちわびる想い”
幹には、それが痛いほど理解できた。
…同じように、自分も拓馬を見てきたから。
「だから、ホンマに好きやと思うで」
そう言って、拓馬は幹に笑いかけた。
…ニカッと歯を見せる彼の笑顔が、目に焼きついていく。
幹は、その笑顔を見つめ喉が苦しくなった。
…なんで、この人から…こんな言葉聞かなあかんやろ。