俺は手を振る忍を横目に中庭に行った。

中庭についた俺は、いつもの特等席に
行こうとしたが、
そこには先客がいた。
今日は先客が多いな、と思いつつその座ってる奴に
近づいていった。
が、そいつの顔を見て俺の歩みは止まった。

涙…?

その先客は女の子で
空を見上げながら涙を流していた。
ひっそり、儚げに。
俺は、行きにくくなり彼女がいなくなるまで
待とうと思った。
中庭の少し高めの草に俺は身を潜めた。

彼女は、ずっと空を見上げて
涙が下に落ちたときに
やっと涙をながしていることに気づき
めがねを押し上げ涙をぬぐった。
そしてもう一度空を見上げ
何かをつぶやいていた。
俺は無意識のうちに彼女に近づいていた。

ただ、彼女が何を言っているのかを知りたくて

近づいていき徐々に彼女の声が聞き取れだした。

「空…きれい……」