2人の視線は、自然と重なっていく。

・・・沈黙のまま、声が出ない。

・・・出会ったときのカグは眉間にシワを寄せた顔ばかりだったのに・・・今は違う。

優しい顔をして・・・まっすぐな視線で自分を見てくれる。

・・・ゆっくりとカグの顔が近づいてくる。


「・・・カグ」


舞はゴクンとツバをのみ込んだ。

鼓動は、大きく波を打っていく。

そっとカグの手のひらが、耳元にそえられていく。

真っすぐな視線から目もそらせないまま体が凍りつく。

・・・2人の唇が、そっと近づいていく。

・・・・・・あと5センチくらい。