天使がくれたもの(全編公開にします)

･･･鼻の奥が、ジンワリと涙が込み上げるのを知らせてくる。

家の裏の駐車場に着くと、彼は背中を向けたまま話しだした。


「俺んちな、父親が借金して･･･中学んとき家出てったんやし。･･･別れたらいいのにアホみたいに待って離婚せぇへん母親と、美容師の姉キの3人で払ってる。･･･どこにおるんかわからん父親は、出ていってから金払ってたのは･･･最初だけ」


･･･突然の思いがけない話に、舞は声が出せなかった。


「･･･そんな父親がな、6月の末に帰ってきてな。今さらなんやねんって、俺な腹立って殴ったんやし」


･･･あんときかな？

舞は、部屋からまったく出てこなかったときのカグを思い出した。


「･･･俺、母親に離婚せぇって怒鳴りつけて･･･父親も追い出した」


真剣な顔で、舞はカグの背中を見つめていた。