彼はムスッとした表情で、ため息を吐いた。

だんだん小さい声になり、髪を染める手の動きも速くなっていく。

・・・彼の指先から伝わる体温が、やけに温かく感じてくる。

次第に舞の瞳から、涙がポロポロとあふれだした。

鼻水をすする音に気がつき、彼は慌てて舞の前にしゃがみ込んだ。


「え!? なんで泣くんなよ? 俺、何かした?」


アワアワと慌てだす彼。


「・・・違う。カグにな、テルオとのとき助けてもらったのに・・・あたしはあの日何もできへんかって。何かつらいことあったんやろなぁって思うのに、なんて言うたらいいかわからんかって・・・」


舞は、シャックリで言葉を途切らせなが答えた。